日本とヨーロッパを中心とする国際研究グループによる長基線ニュートリノ振動実験プロジェクトのこと。丹羽公雄名古屋大学名誉教授の発案により、2006年に開始された。11カ国の30機関が参加し、日本からは名古屋大学、東邦大学、神戸大学など5大学が参加している。ニュートリノは物質を構成する素粒子の一つで、「電子型」「ミュー型」「タウ型」の3種類があるが、飛行中にそれぞれ別の種類に変化する。この現象をニュートリノ振動といい、OPERAはミュー型がタウ型に変化する現象を直接的に捉えようとするもの。スイスのジュネーブ郊外にあるヨーロッパ合同原子核研究機関(CERN)の加速器からミュー型ニュートリノを打ち出し、イタリアのグランサッソ国立研究所までの約730キロを飛行する間に現れるタウ型ニュートリノを検出する。研究グループは11年9月23日、実験の副産物として、ニュートリノが光の速度より速く飛ぶことを示す観測結果が得られたと発表した。この結果が正しければ、現代物理学の前提をなす「光速より速いものはない」というアインシュタインの特殊相対性理論を根底から覆すことになるが、結論はさらなる精査を待たなければならない。研究グループも、他の研究機関による検証を求めるために発表に踏み切ったと説明している。