内閣府の原子力安全委員会の作業部会が2011年10月20日に提示した、原子力発電所の防災対策の新たな重点区域案。現在、原発から半径約8~10キロ圏としている防災対策重点地域(EPZ)に替え、対象を半径約30キロ圏に拡大するもので、原発から放射性物質が放出するなどの事故が発生した場合、避難もしくは屋内退避などの緊急防護措置を実施するための計画をあらかじめ策定しておく。また、放射性物質のモニタリング体制の整備なども行う。ほかに、原発事故が発生したらただちに避難する半径約5キロ圏の予防的防護措置準備区域(PAZ)と、半径約50キロ圏の、放射性ヨウ素による甲状腺被曝を避けるため安定ヨウ素剤などを準備する地域(PPZ)の二つを合わせ、3種類の防災対策重点区域を設定する案となっている。原子力安全委員会が改定作業を行っている、国の原子力防災指針に取り入れる予定で、対象区域の自治体は、それぞれの地域防災計画に盛り込むこととなる。全国に17カ所ある商業用原発の周辺で、現在のEPZで対象となるのは44市町村だが、UPZに拡大されると、水戸市、京都市、鹿児島市など府県庁所在地も含めた135市町村が対象となり、人口は約205万人から約793万人と4倍近くに増えることになる。作業部会では避難の基準となる放射線量などを決めて12年3月に中間報告をまとめる。原子力防災指針の改訂は、その後1年以上かかる見通し。