衝撃を受けた際にゴムのように変形し、割れることなくその力を吸収する、世界初の機能性プラスチック。主成分となる、硬く強度の高いポリアミドと、軟らかく変形するポリオレフィンの双方の特長が、衝撃を境に入れ替わって強く現れるもので、東レと山形大学の共同グループが独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託事業の下で開発した。衝撃に強いプラスチックは従来からあったが、ある程度の力を受けると割れてしまうのが常だった。原因は、複数の素材を溶かし合わせたにもかかわらず、実際にはμm(マイクロメートル、100万分の1m)レベルの粗い混合しかなされていなかった点にある。これを改善するべく、スクリューを工夫した混合装置を開発し、強い力をかけながら素材を練り合わせ、数十nm(ナノメートル、1nmは10億分の1m)という微細なレベルで密に混合したナノアロイ構造をもたせることによって、相反する特性を共有させることに成功した。自動車部品やスポーツ用品での用途が見込まれ、東レでは2010年までの製品化を目指すという。