糖質などの栄養源と酵素とを反応させて、電気を作り出す電池。一般に、電池は、化学反応によって電子を放出する負極(-)と、その電子を受け取る正極(+)、両極の間を仕切るセパレーターでできている。化学反応のための物質を自然に負極に送り込むパッシブ型と、ポンプなどで強制的に送り込むアクティブ型がある。2007年8月23日、ソニーは、ブドウ糖を使い、パッシブ型で世界最高の50mWの出力をもつ、一辺39mmのキューブ型バイオ電池を開発したと発表。負極にて、ブドウ糖溶液が酵素と起こす化学反応から、電子と水素イオンを得て、この電子を外部に取り出し、電気エネルギーとして使う。一方、水素イオンはセパレーターを通り抜けて正極側へ移動し、空気中から取り込んだ酸素と、外部で回路を作動させて正極へたどりついた電子とで反応を起こし、水が生成される。(1)電子の流れを助ける物質と酵素とを、高い密度で負極に固定化する技術の開発、(2)正極へ効率よく酸素を取り入れるため、適度に水分を保つ技術の開発、(3)電池の内部を満たす電解質溶液の濃度を高めたことの3点が、世界最高出力を得るための要となっている。