梅雨から秋にかけてコナラやブナなどの広葉樹林内に群生または単生する、ニクザキン科の毒キノコ。高さ3~15センチ程度の円筒形で、棒状か枝分かれした指のような形をしている。表面は赤橙色から赤色で内側は白く、身は硬い。色と形が炎を連想させることから、「火炎(火焔)茸」という和名がついた。枯れたコナラなどの地中の根から生えることが多く、近年の「ナラ枯れ」の被害拡大に伴って、北陸や東海、近畿地方などでの発生が増えている。このキノコを食したことによる死亡を含む中毒が1990年代に相次いで発生したことで、毒キノコであることが判明した。見た目が似ている食用のベニナギナタタケと誤食した例もある。毒の成分はトリコテセンで毒性は強く、キノコの汁が肌に触れると強い炎症を起こすこともある。かんだだけでも口内炎が起こり、食べると下痢、嘔吐(おうと)、手足のしびれなどが現れ、運動障害、意識障害、多臓器不全などを起こして死に至る。致死量は生のキノコで3グラム。回復しても小脳の萎縮などの後遺症が報告されている。