南西海域からの暖かく湿った空気が、舌のように細長く伸びている領域のこと。夏の太平洋高気圧が梅雨前線を押し上げる際、南からの湿潤な空気が太平洋高気圧の縁を回って梅雨前線に流れ込んで起こる。梅雨末期によくみられ、九州や四国など列島南西域に集中豪雨をもたらすことがある。1982年7月の長崎豪雨災害では1時間に187mmという日本観測史上最多の雨量を記録した。2009年7月19~21日に中国地方を、24~26日に九州北部を襲った豪雨(「平成21年7月中国・九州北部豪雨」)では、各地の雨量が平年の7月月間降水量の2倍に達した。特に九州北部では、湿舌が梅雨前線を刺激し、にんじんのような積乱雲を連続発生させる「テーパリングクラウド(にんじん雲)」も引き起こした。