産業技術総合研究所(産総研)の栗原一貴研究員と科学技術振興機構の塚田浩二研究員が開発した、迷惑を顧みずおしゃべりを続ける人の話しをやめさせる装置。「黙らせる装置」「おしゃべり防止装置」「おしゃべり撃退装置」などとも報道されている。「おしゃべりが過ぎる人を黙らせるという人類の根源的な欲求にこたえようとした」ことが評価され、ユーモアあふれる科学研究などに贈られる2012年のイグ・ノーベル賞音響賞を受賞した。装置は、自分の声がわずかな時間をおいて聞こえてくると脳が混乱してうまく話すことが出来なくなる、という聴覚遅延フィードバック現象を利用したもの。指向性のマイクと音を遅らせる電気回路、特定方向に音を出す指向性のスピーカーからなり、話している人の声をマイクで拾って、0.2秒遅れて指向性のスピーカーから本人に声を送り返す仕組み。効果は話しをしている人にのみ作用し、周囲への影響はない。また、話しをやめれば当人への影響もなくなる。会話のマナーやルールのコントロールなど、コミュニケーション支援への活用を検討しているが、研究は初期の段階にあり、効果には個人差や慣れの要素が大きいため、当分は公開や販売の予定はない、としている。スピーチ・ジャマーの原理を応用したパソコン用の簡易ソフトも無料公開されており、産総研ホームページの受賞報告(http://www.aist.go.jp/aist_j/topics/to2012/to20120921/to20120921.html)にリンクされた栗原研究員のサイトでダウンロードできる。