低い解像度の映像を、フルHD(フルハイビジョン)のレベル、すなわち1920×1080画素相当まで高精細変換する技術。東芝が2008年10月から発売する液晶テレビの上位機種に、世界で初めて搭載される。デジタル放送に移行しつつある地上波放送や衛星放送ではあるが、信号を大量に使うフルHDで放送される番組は、現状では衛星放送の一部にしかなく、大半のデジタル放送番組は1440×1080画素、あるいはそれ以下の解像度での放送となる。また、DVDにいたっては720×480画素しかない。このような低い解像度の映像をフルHD対応のテレビに映すとき、従来では、単純に引き伸ばすか、特別な場合でも、映像の中の輪郭部分を推測して色の違いを強調するような単純な「高解像度化」を施す程度で、不十分な画質にしかならなかった。しかし、同社が開発した超解像技術「レゾリューションプラス」では、低い解像度の映像を、(1)いったん高解像度化し、(2)、(1)の映像を再度低い解像度に変換し、(3)、(1)と(2)の映像の差をもとに「本来そこにあったであろう映像情報」を推測し、粗い画像に信号を補完することで高精細な映像を得る。つまり、移動物体の二つの通過点から、最初の出発点を推測する工程に似ている。この膨大な信号処理をリアルタイムで長時間実行し続けることは容易ではないが、同社は、得意分野である半導体素子の技術によって新システム「メタブレイン・プレミアム」を開発し、この難題を克服した。