鏡を使って光を集め、そこで生じる放射熱を利用して電気を得る発電方式。単に太陽熱発電(solar power generation)と呼ばれることもあり、(1)集中方式(中央タワー方式 central tower system)、(2)分散方式(パラボリック・トラフ方式 parabolic trough system)、(3)ディッシュ/スターリング方式(dish/Stirling engine system)に大別される。(1)は、多数の平面鏡で太陽を自動追尾しつつ、その反射光を、中央に立てたタワーの蓄熱機に集中させ、熱を得るもの。(2)は、太陽光を自動追尾する巨大な凹面鏡を用い、その反射光が集まる位置に蓄熱機を配置するもの。(1)(2)は、蓄えられた熱で、火力発電などと同じように水を蒸気に変え、タービンを回して電気エネルギーを生み出す方式で、ともに数百MW(メガワット=100万W)の出力が期待できるとされる。(3)は、加熱や冷却によってシリンダー内のガスを膨張・収縮させることで稼働するスターリングエンジン(Stirling engine)に、凹面鏡で光を集めるもので、5~50kW(キロワット=1000W)の出力が期待できるとされる。いずれの方式も、効率よく熱を得て、しかもその熱をできるだけ外部に逃がさずに、発電だけに利用することが理想であり、固体から液体になる際に熱を蓄える性質をもつ融解塩などを媒体として利用する。この媒質の特性は同時に熱を長時間蓄える効果につながるため、太陽電池とは違い、夜間でも発電が可能となる。また、火力発電などのように燃料を燃焼するわけではないので、コスト面はもとより、温室効果ガスや有害ガスの発生がないというメリットをもつ。しかしながら、いずれの方式にしても、長時間にわたって太陽光が当たり続けるような場所での設置が前提となり、また、装置も多数用意する必要があるため、システムとして大がかりにならざるをえないというデメリットもある。