内閣府の食品安全委員会が示した、人が一生で放射線に被曝する累積線量の上限値を表した言葉。これを超えると、発がん率の増加など健康への悪影響が明確になるとしている。数値基準の設定は、厚生労働省からの要請で進められていた、食品中の放射性物質が健康に与える影響についてまとめた評価書で示されたもので、2011年7月26日に発表された。食品の放射線量規制では、東京電力福島第一原子力発電所の事故を受けて急きょ作られた暫定規制値として、年間を基準とする飲食物摂取制限に関する指標があるが、今回の数値は生涯を基準とする点が特徴。100ミリシーベルトは外部被曝分を含めた数値で、自然界からの放射線(日本では平均年間約1.5ミリシーベルト)は除外される。検討当初は食品による内部被曝量の影響評価が目的だったが、食品に由来する疫学的なデータが極めて少ないために十分な評価ができず、健康への影響を内部被曝と外部被曝とに分けて考えること自体にも無理があるとの判断から、外部被曝を含めた基準設定となった。数値は成人についての目安で、小児は甲状腺がん、白血病など、より放射線の影響を受けやすい可能性を指摘した。また、100ミリシーベルト未満については、委員会が現在得られる知見では健康への影響はわからないということで、未満だから安全ということではない、としている。評価書はパブリックコメントをへて8月下旬に厚生労働省に答申される。