17~18世紀にかけて起こった太陽活動の不活発期。この時期に太陽表面の黒点がほとんど発生しなかったことを突き止め、太陽活動の低下との関連性を発見した、19世紀のイギリスの天文学者、ウォルター・マウンダーにちなんで名づけられた。太陽は通常、活発な時期と不活発な時期を11年周期で繰り返す。活発な時期には黒点の数が増え、最も活発な時期には、南北両極に1つずつあるS極とN極の磁場が反転する。しかし、この周期に乱れが生じて黒点が少ない状態が長く続くと、太陽活動が不活発となって地球に寒冷化をもたらす。1645~1715年ごろまでの約70年間に及んだマウンダー極小期では、北半球の平均気温が0.6度低下し、ロンドンのテムズ川が凍るなど厳しい寒さに見舞われた。日本でも京都の桜の開花が遅くなったことが記録されており、冬の平均気温が20世紀後半より約2.5度低かったと推測されている。また、極の反転周期にも異変が起こり、その結果、N極とS極が2個ずつになる4重極構造になっていたことも判明した。こうした周期の乱れや異変はその後も観測されており、1800~1820年ごろにもダルトン極小期とよばれる冬眠期が記録された。それ以降は比較的周期が安定し、次の極の反転は2013年5月と予測されていたが、現在、N極だけに1年早く反転の兆候が起こり、12年5月にも4重極構造になる可能性があるといわれている。マウンダー極小期と同様の変化が見られることから、地球の寒冷化の可能性も指摘されている。