水蒸気を大量に含む、暖かくて湿った空気が持続的に流れ込むことにより、積乱雲が風上で連続して発生する気象現象。バックビルディング形成ともいう。通常の積乱雲は、一時的に雷雨や激しいにわか雨を降らせることはあるが、発生後30分~1時間程度で消滅する。しかし、新しい積乱雲が次々に発生するバックビルディング現象では、複数並んだ積乱雲群が塊となって線状降水帯を形成するために、大雨や集中豪雨をもたらす原因となる。2012年7月11~14日にかけて発生した九州北部豪雨では、梅雨前線付近の暖かく湿った空気が舌のように細長く伸びる湿舌という領域に、東シナ海上で蓄積された水蒸気が偏西風によって持続的に流入されて、この現象が起きたことが明らかになった。繰り返し発生した積乱雲群によって東西に100~200キロ、幅20~30キロに及ぶ線状降水帯が複数回形成され、九州北部付近に停滞したために記録的な大雨が続いた。同様の現象は、09年7月の中国・九州北部豪雨、11年7月の新潟・福島豪雨でも確認されている。