京都大学の中西和樹准教授、金森主祥(かずよし)助教、早瀬元(げん)大学院生らのグループが開発した、マシュマロのように白くて柔らかい柔軟多孔性物質。メチルトリメトキシシラン(MTMS)とジメチルジメトキシシラン(DMDMS)という、ともにケイ素を主体とした化合物と、酢酸水溶液、尿素、界面活性剤を混合して30分攪拌(かくはん)し、数時間にわたって80℃の温度下に置くことにより、MTMSとDMDMSとを共重合(compolymerization 複数の小さな分子を結合させて高分子にする反応)させて合成する。こうして作られるマシュマロゲルの分子構造は、シリコーンゴムの主成分であるポリジメチルシロキサン(PDMS)と似ているため、同様の強い撥水(はっすい)性をもつ一方で、無数の穴は油分を吸着する性質をもつ。そのため、水と油が混ざった混合物の中に浸けることで、油だけを効率的に取り除くことができるうえ、素材としても安定しており、300℃超の高温下から-130℃付近の低温下まで物性を保つことができる。こうした特性は、非常に困難をきわめる原油流出事故への対処をはじめ、水から油を分離するさまざまな場面での応用が期待できるほか、高い吸音性や断熱性も併せもつため、建築材料への応用も考えられる。