和名はタイワンアブラギリまたはナンヨウアブラギリ、観葉植物では「しゃぼん玉の木」で知られる熱帯アメリカ原産の多年生植物。南米やアフリカ、インドに自生し、乾燥したやせた土地でも育ち、家畜に食べられず害虫もつかないが、種子は下剤に用いられるものの食用には適さない。しかし油脂量が豊富でせっけんや機械油の原料となり、燃焼しても二酸化炭素の排出量が化石燃料の5分の1にすぎないことから、優れたバイオディーゼル燃料の原料として、特にEU(欧州連合)などから注目されている。1本から6~10kgを採取できるヤトロファ・クルカスの原料種子には40~48%の油分が含まれ、1haに2500本を植えると、年間6~12tの量のバイオディーゼル燃料の生産が可能である。EUには既に「運輸部門でのバイオ燃料あるいは他の再生可能燃料の利用を促進する欧州議会・理事会指令2003/30/EC」(いわゆるバイオ燃料指令)が存在する。EUでは今後、道路運輸部門のバイオ燃料のシェアを2010年までに5.75%、20年までに20%にまで引き上げることが義務づけられていることから、バイオ燃料の確保は急務である。そこでEU域内外の企業は、ヤトロファ・クルカスの栽培のためにアフリカやアジアに耕作地を求める動きが盛んになっており、南米、アジア、アフリカで耕作地を「バイオ油田」とする計画が広まりつつある。