ヒトが聞き取れないほど高い音、すなわち超音波と呼ばれる高い周波数の音波が、脳や肉体に影響を及ぼす現象。その効果は、超音波の成分が複雑に変化する性質をもち、かつ普通に聞こえる領域の音と共存するときにのみ現れる。文明科学研究所の所長にして国際科学振興財団理事の大橋力氏が発見したもので、2000年6月に脳科学論文誌「Journal of Neurophysiology」に発表して以来、08年6月までに、同誌の論文アクセスランキングのトップ5に55カ月連続でランクインし、第1位は24回を数えた。同研究所は、マルチパフォーマンス・コミュニティーとして活動する芸能山城組の主宰者である同氏(山城祥二名義)が、科学・工学系の博士号を持つメンバーたちを携えて設立した異色の機関。一般に、成人したヒトの耳は、20kHz(20キロヘルツ=2万Hz。波動が一秒間に2万回振動する状態)以上の周波数をもつ高音を聞き取ることができない。だが、これは耳の器官の性能限界により聴覚として知覚できないだけで、高周波の音波が肉体に影響を及ぼさないわけではない。各方面の実験でも、20kHz以上の、ときに100kHzを超える超音波が、ヒトの脳幹、視床、視床下部など、意識や生命維持にかかわる基幹脳ネットワーク(キカン,ノウ,ネット,ワーク)を活性化させ、脳活動の増強や、免疫活性の上昇、ストレスホルモンの低下など、多くの有益な効果をもたらすことが確認されている。そのメカニズムは解明されていないものの、霊長類の祖先が誕生して多様な進化をとげた熱帯雨林では、超音波成分が豊富である一方、体調を崩す人が多い都市部では、低い周波数の音しか確認されないといい、そこに何らかの相関が示唆される。