尿素とアンモニアから合成される工業用窒素化合物。塗料や接着剤、木材の加工などに広く使われるメラミン樹脂というプラスチックの原料。メラミン単体では毒性は低く、代謝されずに排せつされるが、動物試験データによると大量摂取による膀胱結石や尿路結石などが確認されている。2008年9月、中国でメラミン混入の粉ミルクが原因で、5万人を超える乳幼児が腎臓結石などにかかり、5人が死亡するという事件が起きた。製造元の大手乳製品メーカー「三鹿集団」では、食品のたんぱく質含量を多く見せるためにメラミンを混入。通常、たんぱく質含量の試験では窒素含量を測定するため、メラミンを入れることで見かけ上、たんぱく質の含量が多くなる。日本には三鹿集団製の粉ミルクは輸入されていないが、大阪の丸大食品が中国製牛乳を使用した自社製品を自主回収して検査したところ、メラミンが検出された。これを受け、厚生労働省は同年9月26日、中国製乳製品や乳製品を原料とする加工食品の輸入会社に、メラミンの検査を義務付ける旨通知、中国製乳製品を輸入しているアジア12カ国・地域から輸入する製品についても同様に検査するよう、全国の検疫所に指示を出した。