発がん性を持つ化合物のひとつ。ベンツピレン(benzpyrene)とも呼ばれる。ベンゼン環を五つ持ち、その構造によってベンゾ[a]ピレンとベンゾ[e]ピレンに分けられる。加熱すると分解して、刺激性の煙を発生させる。ベンゾピレンは環境基本法で定められている環境基準は設定されていないが、大気汚染防止法で有害大気汚染物質に該当する可能性がある234の物質に指定されており、特に、ベンゾ[a]ピレンは、234物質のなかでも特に健康リスクが高いと考えられる22種類の有害大気汚染物質(優先取組物質)に選定されている。ベンゾ[a]ピレンは、非常に強い発がん性を持っており、自動車の排気ガスやコールタール、タバコの副流煙などに微量に含まれている。2008年3月から行われた、東京都の築地市場の移転予定地である豊洲地区の土壌再調査で、07年の調査結果の115倍という高濃度のベンゾ[a]ピレンが検出されていたにもかかわらず、東京都が汚染対策の専門家会議に未報告だったことが09年1月に明らかとなり、問題になっている。