放射能汚染が広がらないように、地中で行う核実験のこと。普通は、地下深くに密閉された実験場を作り、放射性物質が地表に漏れないように行われる。1954年にアメリカが行った水爆実験で日本の漁船が被曝した「第五福竜丸事件」など、核実験による被害が国際的に問題となったことなどから、63年、大気圏内、宇宙空間、水中での核爆発実験を禁止する部分的核実験停止条約(PTBT)が、アメリカ、イギリス、旧ソ連の間で調印された。しかし地下での核実験は禁止されていなかったため、冷戦時代は、かえってさかんに地下核実験が行われるようになった。PTBTに参加しなかった中国とフランスも、その後、大気中の核実験をやめて、地下核実験を行うようになった。90年代には、アメリカ、イギリス、ロシア、フランス、中国の5カ国は核実験(未臨界実験を除く)を停止したが、98年にインド、パキスタンが地下核実験を行い、さらに2006年には北朝鮮が初の地下核実験を行った。1996年には、あらゆる場所での核爆発の実験を禁止する「包括的核実験禁止条約(CTBT)」が、国連総会で採択された。180カ国が署名し、日本を含む148カ国が批准したが、アメリカや中国などの批准拒否で発効していない。09年5月25日、北朝鮮は2回目の核実験を行ったことを発表した。