キノコが丸い輪を描くように連なって生える現象で、菌輪(きんりん)、菌環(きんかん)ともいう。西洋では妖精などが踊った跡という言い伝えがあり、妖精の輪、仙女の輪と呼ばれる。キノコの胞子が発芽する際、菌糸が土中で放射状に均等に伸びていくと、菌糸の先から生えるキノコがリング状に現れる。キノコの発生期以外では菌糸体が枯れ草などの有機物を分解する際、周辺の植物の育成を促すため、濃緑色の芝草がリング状に現れる。輪は年々外へ広がっていくので、輪の直径で菌輪の年齢を推測できる。また、菌糸体が発達しすぎて水が浸透しにくくなるなどの原因で芝草を枯死させることがしばしばあり、ゴルフ場などで問題になっている。フェアリーリングについては未解明の部分も多いが、2010年5月18日、静岡大学大学院創造科学技術研究部の河岸洋和教授は、この現象を引き起こす菌糸に含まれる2-アザヒポキンサチン(AHX)という物質が、農作物の収穫量を増やす効果を持つことを突き止めたと発表した。今後は肥料などへの実用化をめざした実証実験を行う計画だという。