かつて日本全土に生息していた食肉目(ネコ目)イタチ科の哺乳類。ユーラシア大陸に生息するユーラシアカワウソの亜種とされるが、別種とする意見もある。体長(頭胴長)約60~80センチ、体重約5~13キロ。背中は濃い褐色で腹面は白っぽい灰褐色。前後の足の指には発達した水かきがあり、泳ぎが得意。川や湖、海岸などの水辺にすみ、魚やエビ、カニなどを好んで食べる。明治時代までは北海道から九州まで広く生息していたが、毛皮目的の乱獲によって生息数は激減。1928年に狩猟が禁止されたが、河川環境の悪化などが追い打ちをかけて、生息数は減少の一途をたどった。64年に天然記念物、翌65年には特別天然記念物に指定されたが減少の歯止めはかからず、79年に高知県須崎市の新荘川で生きている姿が目撃されて以来、国内での生息が確認されていなかった。環境省は、生息が30年以上確認できていないことから絶滅したと判断。2012年8月28日に公表されたレッドリストの改訂において、ニホンカワウソをこれまでの絶滅危惧種から絶滅種に指定した。