国際リニアコライダー(ILC ; International Linear Collider)とコンパクト・リニアコライダー(CLIC ; Compact Linear Collider)という、次世代線形加速器を研究する素粒子物理プロジェクトの二大勢力が統合した新組織。前者は各国の素粒子物理学会を中心に国際共同で進められている計画で、日本でも誘致に動いている。また、後者はヨーロッパ合同原子核研究機関(CERN)を中心に進められている計画となる。加速器とは、電荷をもった粒子を磁気や磁場などで加速して、高いエネルギーの粒子線をつくる装置で、粒子をまっすぐ加速させるタイプを線形加速器(リニアコライダー)という。ILCは0.5~1テラ電子ボルトのエネルギーで、またCLICは0.5~3テラ電子ボルトのエネルギーで電子と陽電子を衝突させるものとして考えられている。ともに全長数十キロもの装置になり、質量の起源となるヒッグス粒子や未知の超対称性粒子などの発見から、宇宙創成の謎を解明していくことを目指す。また、CERNでは、大型ハドロンコライダー(LHC ; Large Hadron Collider)という円形加速器を使ってヒッグス粒子の発見に近づいたとする成果を発表しているが、次世代の線形加速器はこうした実験の成果を精査することに力を発揮すると期待される。今回の統合は2013年2月21日に公式発表され、新組織のディレクターにはLHCのプロジェクト・マネジャーも務めたリン・エバンス(Lyn Evans)が、副ディレクターには東京大学カブリ数物連携宇宙研究機構の村山斉機構長が就任した。