産業技術総合研究所が研究開発したアザラシ型のロボット。体長約60cm、長く白い毛に覆われ、なでられたり抱っこされたり、あるいは名前を呼ばれると、瞬きや首を動かしたり手足や頭を振り、逆に乱暴に扱われると嫌がる。人間がイヌやネコなど動物に触れ合うと、精神的な安らぎの効果が得られるアニマルセラピーと同様に、ロボットセラピーの効果があるメンタルコミットロボットとして位置づけられている。メンタルコミットロボット(Mental Commit Robot)とは、産業用ロボットに対し、見た目にもかわいらしく、安らぎや精神的な働きかけをもたらす、人間と共存するロボットを指す。パロは、1993年から開発が始まり、ネコ型を経て、タテゴトアザラシの赤ちゃんをモデルとした、人工毛皮に覆われた形に落ち着いた。2001年から、高齢者向けのデイサービスセンターと介護老人保健施設でロボットセラピー実験が行われ、アニマルセラピーと同様の効果があることが確認された。そして02年には「最も癒やし効果のあるロボット」(Most Therapeutic Robot)としてギネスブックに認定されている。05年から民間会社による製造販売が始まり、3年間で約1000体が個人や老人ホームで購入されている。また08年11月には、デンマークの高齢者施設約40カ所でパロを導入することがデンマーク技術研究所から発表され、今後10年までに500カ所で導入を目指すとしている。