中国北西部の新疆(しんきょう)ウイグル自治区で化石が発見された新種の恐竜の名前。化石はジュラ紀後期(1億6000万年前)の泥沼が堆積した地層で発掘されたことから、ラテン語の泥(リムス)にちなみ、リムサウルス・イネクストリカビリス(Limusaurus inextricabilis)という学名が付けられた。全長は1.7mほどで、くちばしをもつ草食性とみられる。ダチョウのように後ろ脚2本で歩行する獣脚類の一種に分類された。恐竜の獣脚類は鳥類と同様3本の指を前脚にもち、現在の鳥類の祖先と考えられている。これは、恐竜と鳥類がもともと5本指だった共通の祖先から進化したことを示唆するものだが、恐竜は人でいう親指・人さし指・中指の3本が残り、鳥類では人さし指・中指・薬指の3本が残ったという相違点があり長年の謎であった。今回発見されたリムサウルスの前脚にみられる3本の指は、鳥類と同じ人さし指から薬指までで、ほぼ退化しているが親指とみられる部分も確認された。これは恐竜と鳥類の特徴をあわせもつもので、鳥は恐竜から進化したとする「恐竜起源説」を裏付ける重要な発見といえる。研究の詳細は6月18日付のイギリス科学誌「ネイチャー」に掲載された。