福島第一原子力発電所事故について、民間の立場で独自に調査・検証を行う組織。一般財団法人日本再建イニシアティブ(船橋洋一理事長)が2011年9月に立ち上げた。委員会メンバーは、前科学技術振興機構理事長の北澤宏一委員長のほか、元検事総長など計6人。委員会の下には研究者、弁護士、フリージャーナリストら約30人からなるワーキンググループが設置され、調査の実務に当たった。12年2月27日、同委員会は400ページを超える「調査・検証報告書」を公表。菅直人前首相ら事故当時の政権中枢メンバー、班目春樹原子力安全委員長、事情を知るキーパーソンや現場作業員など300人以上へのヒアリングを踏まえたものだが、東京電力の幹部は聴取に応じていない。報告書では、政府の対応を「稚拙で泥縄的な危機管理」と厳しく批判する一方、作業員の「撤退」を求める東電に対し、菅前首相が本店に乗り込んだ点については評価した。また、事故への備えを欠いた東京電力を「組織的怠慢」と断じるほか、「原子力ムラ」の生み出した「安全神話」が事故の遠因とするなど、事故の歴史的背景の分析などにも踏み込んだ内容となっている。なお、原発事故に関する調査機関は、政府の原発事故調査・検証委員会(委員長 畑村洋太郎東大名誉教授)が11年12月に中間報告を発表しているほか、国会も政府から独立した国会事故調査委員会(委員長 黒川清元日本学術会議会長)を立ち上げており、12年6月をめどに報告書をまとめる予定。