インターネット接続に携帯電話やPHSなどのデータ通信サービスを利用するルーターのこと。ルーターとは、インターネットをつなぐブロードバンド回線(WAN)側とパソコン(LAN)側とを中継する装置のこと。データ通信に携帯電話の無線回線(3G)を利用することから、モバイルWiFiルーター、ワイヤレスルーターなどとも呼ばれる。3Gとは、第3世代の携帯電話の通信形式のことで、高速なデータ通信が可能になっている。一般家庭でもよく利用されているブロードバンドルーターの場合は、インターネット側の方にブロードバンド回線をケーブルで接続し、パソコン側の方に自宅のパソコンをつなぐことでインターネット接続を可能にするが、インターネット回線側が有線のため、外出先では利用することができない。一方のモバイルルーターの場合は、インターネット側に直接、携帯電話を接続するか、携帯電話のSIMカード(加入者情報を書き込んだチップ)を装着することで、携帯電話のデータ通信サービスを使ってインターネット接続が可能になり、接続の場所を問わないのが大きな特徴となっている。たとえば、無線LAN機能(WiFi)を持つノートパソコンやゲーム機器の場合、これまでは外出先でインターネット接続を行うには別途、たとえばNTTコミュニケーションズのホットスポットのような公衆無線LANサービスに加入する必要があり、加入したサービスのエリア内でなければ利用ができなかった。また、これまでも携帯電話のデータ通信サービスでインターネットに接続できたが、携帯電話以外での利用はパケット定額サービスの範囲外だった。こうした問題がモバイルルーターの導入で解消されることになる。ここ数年、携帯電話のデータ通信サービスが高速になったことから、モバイルルーターのサービスは一部で評判になっていたが、2010年4月にアメリカで先行発売されたアップル社のiPadの登場により、日本でも一般ユーザーを対象に一気に注目を浴びるようになった。iPadは、インターネットの接続方法にWiFi+3GとWiFiのみのものとの2種類があり、3Gの場合はソフトバンクとの契約が必要になる。そこで通信事業者をはじめとする各社は、WiFiのiPadを外出先でも利用できるサービスとして、モバイルルーターの発売やレンタルを相次いで発表した。NTT東日本は、自社の「フレッツ光」の利用者向けにモバイルルーターのレンタルを開始。日本通信のb-mobileWiFiは、携帯電話事業者を問わないSIMフリーのモバイルルーターを、バッファローは、NTTドコモのFOMA回線を利用するモバイルルーターを発売する。