グーテンベルク計画。アメリカで、著作者の死後一定期間が経過して著作権が消失した作品全文をデジタル化してネット上で無償公開する計画。これまで、主に英語による約3万3000冊の作品がプレーンテキストで電子書籍化されており、原則としてアメリカ国内であれば、iPad、iPhone、キンドル、ソニー・リーダー、アンドロイド端末などの電子書籍端末やパソコンでも、デバイスに制限されることなくダウンロードして読むことができる。この計画はマイケル・S・ハートが、71年に始めた活動が基礎となっている。当時イリノイ大学在学中のハートは学内の汎用大型コンピューターへの、時価100万~1億ドルにも匹敵する無制限のアクセス権を与えられた。彼はこの恩恵を他の人にも分けようと、いずれは誰もがコンピューターにアクセスする時代が来るものと考え、当時持っていた「アメリカ独立宣言」をテキスト化して、ネットワークを通じて配布しようと試みたことがこのプロジェクトのきっかけになった。テキストをデジタル化する作業と運用は、無償のボランティアの手によっている。プロジェクトの名称は、活版印刷機を発明し「印刷の父」とも称されるヨハネス・グーテンベルク(1398?~1468?)にちなんでおり、ハートの命名である。これの日本版として知られているのが、1997年に設立された青空文庫である。著作者の死後50年を経過した作品全文を、ボランティアがデジタル化して公開、無料で閲覧が可能なサービスである。これまで森鴎外、夏目漱石、芥川龍之介などをはじめとして、約9700以上(2010年12月現在)の作品が公開されている。