ハードウエアやソフトウエアなどのコンピューター資源を、インターネット経由で利用するシステムの形態。インターネットに接続でき、ウェブブラウザーが稼働する端末があれば、どこでも必要なサービスを利用することができる。インターネットを含むネットワークを雲(クラウド)にたとえて、クラウド・コンピューティングと呼ぶ。グーグルのエリック・シュミットCEOが提唱したと言われ、アメリカで2006年ごろから使われはじめた。クラウド・コンピューティングのメリットは、負荷のかかる処理であっても端末の処理能力を意識する必要がないこと、ウェブブラウザーが稼働する端末であれば、パソコンに限らず、携帯電話などのモバイル機器からも利用できることなどが挙げられる。また、アプリケーションに限らず、ハードウエア環境やOS、アプリケーション開発ツールなども必要に応じて自由に選ぶことができるので、物理的な手間やコストも削減できる。クラウド・コンピューティングのサービスは提供する企業によって異なり、その先がけはアマゾンドットコムの仮想サーバーレンタルサービス「Amazon EC2」。その他には、グーグルのウェブアプリケーション開発用プラットフォーム「Google App Engin」、ウェブ上でデータやデバイスを同期できるマイクロソフトの「Live Mesh」、アップルが提供するiPhoneとパソコンでデータを同期できるサービス「MobileMe」などがある。また、日本IBMは、08年8月、クラウド・コンピューティング環境を提供するための施設を東京都中央区に日本で初めて開設した。