被写体を3D映像(立体映像)として撮影できるデジタルカメラ。富士フイルムは世界で初めて、裸眼で3D映像を楽しむことができるデジタルカメラ「FUJIFILM FinePix Real 3D System」を開発、2008年9月24日に発表した。立体映像を撮影するためには、2台のカメラを、そのレンズ同士が人間の両目の瞳孔の間隔に近い6~7cm離れるよう設置する必要がある。ここでそれぞれが撮影した被写体には、当然、わずかなズレが生じる。このズレは、人間が二つの目でものを見て遠近感を得るためのわずかな角度の差、つまり「視差」と実質的に同じものといえる。よって、ここで撮影した2枚の画像を、右目用の画像は右目だけに、左目用の画像は左目だけに届くような処理を施せば、立体映像を得ることができる。その処理の一つに、2枚の画像を縦方向に細く切り分け、それらを交互に並べたうえ、その上にかまぼこ状のレンズが並んだシートを載せることで、右目には右目用の画像、左目には左目用の画像だけを届くようにしたレンチキュラーという方法がある。同社が開発したカメラはこの方法を応用したもので、コンパクトタイプのボディーの両端近くに二つのレンズを配し、高度な画像処理プロセッサーにより、2枚の映像を瞬時に処理・合成し、動画撮影にも対応する。カメラ本体の液晶モニター上でも立体視が可能で、精細な立体画像を楽しめる専用のデジタルフォトフレームやプリントの開発も同時に発表された。