駿河湾沖から静岡県沖を震源とする東海地震、紀伊半島沖から遠州灘を震源とする東南海地震、四国沖を震源とする南海地震の3地震が同時、あるいは時間差で発生すること。3地震はいずれも南海トラフと呼ばれる海溝に震源域が並ぶ巨大海溝型地震で、ユーラシアプレートにフィリピン海プレートが潜り込む際のひずみが解放されるときに発生する。地震の規模はマグニチュード8クラス。3地震の連動は未解明な部分が多いが、文献に残る過去の記録では、1707年の宝永地震は3連動地震が発生、1854年の安政地震は東海、東南海地震が同時に、32時間後に南海地震が発生した。直近では1944年に東南海地震、46年に南海地震が連動して起きている。このときは東海地震が連動しなかったため、東海地震の単独発生が警戒されてきたが、東海地震が起きないまま、100~150年とされる東南海地震、南海地震の次の発生周期が近づいてきており、専門家からは3連動地震の可能性を指摘する声が高まっていた。政府は2008年度から5年計画で発生メカニズムの研究を始めているが、指摘を受けて、10年8月31日に3連動地震の被害想定や防災対応をまとめた「対策大綱」の策定を決定し、12年度以降に大綱作りを進めることになった。また、10年9月1日「防災の日」の政府総合防災訓練では、初の3連動地震想定訓練が官邸で実施された。なお、3連動地震の被害については、東南海地震、南海地震の研究過程での試算が03年に参考値ながら公表されており、同時発生の場合、21府県で死者最大2万5000人、全壊建物約55万棟、経済的被害81兆円とされている。