地球の自転を基準とする「世界時(天文時)」に基づく時刻と、原子の振動を利用する原子時計に基づく時刻とのずれを修正するため、世界時に増減される1秒。原子時計は、数十万年に1秒しかずれない高精度なもので、これに基づき1958年を原点とする国際原子時(TAI ; Temps Atomique International 仏)が導入されると、実は地球の回転にはムラがあることが判明。このムラが蓄積すると、いまだ日常生活に用いられている世界時と原子時との間にずれを生じ、さまざまな齟齬(そご)が起こることがわかってきた。そこで、その誤差を0.9秒以内に収める「協定世界時(UTC ; Coordinated Universal Time)」の取り決めがなされ、72年より数年に1度、全世界で一斉にうるう秒の調整が行われている。地球の回転の観測を行う国際機関「国際地球回転・基準系事業(IERS ; International Earth Rotation and Reference Systems Service)」がこれを決定し、日本では総務省と独立行政法人情報通信研究機構(NICT ; National Institute of Information and Communications Technology)が実施する。調整は、世界時(グリニッジ標準時)の12月か6月末日の最後の秒で行われるが、それでも調整しきれない場合は3月か9月にも行われる。2012年1月5日、IERSが3年半ぶり25回目となるうるう秒の挿入を決定。時差のため日本では、7月1日午前8時59分59秒と午前9時00分00秒の間に、「8時59分60秒」が挿入された。