今後の日本の宇宙開発の理念を明確にする基本法案で、自由民主党が成案を目指している。足並みの乱れていた宇宙開発体制を立て直すため、抜本的には、これまで文部科学省傘下におかれていた運営主体であるJAXA(宇宙航空研究開発機構)を、内閣総理大臣の直轄下に据えることで、関係する主務官庁が主体となって、宇宙開発の運営ができるように図る。また従来、宇宙開発は、1969年の「宇宙の平和利用に関する国会決議」における、「平和利用に限定する」との文言に縛られてきた。しかし諸外国では、防衛的な活動は軍事利用とは認めておらず、日本が「非軍事」に限定し続けることには、防衛的な側面でも、自然災害などの平和利用への対応の側面からも、限界に近づいている。このため基本法では、国会決議の「非軍事」を「非侵略」に変えて国際標準化することで、自衛隊が高解像度の情報収集衛星や、ミサイル防衛に不可欠な、早期警戒衛星の開発と保有を可能にする。政府与党(自民党、公明党)は、宇宙基本法案(仮称)を第166回国会(常会)に提出するものの、会期切れとなる公算が高く継続審議とし、2007年秋の成立を目指す考えである。