光合成反応で二酸化炭素(CO2)を吸収する葉緑素、クロロフィルの一つ。1996年に「新しいクロロフィル」として京都大学の宮下英明准教授によって存在が報告された。ほかのクロロフィルが利用できない波長700~750nm(ナノメートル)の近赤外光を光合成に利用するのが特徴だが、限定された海域にしか存在しないとされ、その光合成量は無視できる程度と見なされていた。ところが、独立行政法人海洋研究開発機構と京都大学の共同研究グループが、北極海やベーリング海、琵琶湖など世界9カ所の堆積物を分析したところ、そのすべてからクロロフィルdが検出された。近赤外光を利用して地球温暖化の原因となるCO2を吸収する光合成を行うクロロフィルdが、無視できない規模で存在することで、CO2吸収量の推計に地球全体で年間10億t程度の影響を与える可能性があるという。