アカウキクサ属の一般総称はアゾラ(Azolla)。アカウキクサは、東京都および東海地方以西の本州、四国、九州、南西諸島、朝鮮半島、台湾、中国、インドなど広く分布するアカウキクサ科のシダ植物である。浮遊性で葉の長さが約2mm、平地の富栄養の湿地、水田や沼などに見られ、日本の在来種としてはアカウキクサとオオアカウキクサの2種が知られている。ため池の水の流入口などに群生し、繁殖力が旺盛なことから、水面をジュウタン状に覆うほどに繁茂する。しかしイネにとっては害草とされ、田んぼの整理や農薬には弱く、最近ではその数が急速に減少しており、環境庁の「レッドデータブック」のカテゴリーでは、絶滅危惧2類に指定されている。しかしアカウキクサは利用法によっては、窒素の供給や雑草の除去などの効果があり、アイガモ農法などとともに導入されている例がある。ところがオオアカウキクサには在来種と外来種とがあり、さらにはこれらの交雑種と思われるものが見られるようになってきている。とりわけアゾラクリスタータ(Azolla cristata)と総称される外来アゾラ(オオアカウキクサ)は、2006年2月に特定外来生物法の規制対象種に指定されており、大発生が懸念されている。富栄養化した沼や池では、異常繁殖した外来種アゾラと見られる赤い浮き草で、水面一面が覆われる事態が発生したところもある。