成長すると傘の直径が最大で2m、重さ200kgにも達する大型クラゲ。傘は半球状で硬く、厚みがある。中国から朝鮮半島南西部にかけての黄海沿岸で発生。海流に乗って成長しながら北上し、夏から冬にかけて日本海沿岸に来る。定置網に大量にかかると、網が破れたり、中の魚を毒で傷つけたりするなど、漁業に大きな被害をもたらす。かつて大発生は数十年に一度であったが、2002年以降、毎年のように大発生が続き、大きな問題となっている。09年も大発生しており、北海道沿岸まで到達したうえ、津軽海峡を抜けて太平洋岸にも回り込んで南下。群れの先端は駿河湾に達している。そのため、空前の大発生で延べ10万件以上の漁業被害があった05年を上回る被害も懸念されている。大発生頻発の背景には、中国沿岸での魚の乱獲により、エサとなるプランクトンをクラゲが独占できるようになったことや、海の富栄養化、温暖化による水温上昇などがあると考えられている。最近は大発生を逆手にとって、エチゼンクラゲを食品や化粧品に活用する研究も進められている。