東京電力福島第一原子力発電所事故に伴い、原子炉建屋や敷地内のタンクなどにたまった放射能汚染水から、放射性物質を取り除くための装置。東芝が開発したもので、既設の「第二セシウム吸着装置(サリー)」がセシウムのみを除去するのに対し、ALPSはセシウムのほか、ストロンチウムやプルトニウムなど、62核種の放射性物質を国の基準値以下まで除去できる。ただし、現代の技術では放射性トリチウムだけ除去できない。設備は、二つの前処理施設と14基の吸着塔などから成るサイクルを1系統として、全3系統で構成される。通常は2系統で運転し、1日の処理能力は計500トン。除去した高濃度放射性物質は、専用の高性能容器(HIC)に充填して敷地内に保管する。処理を終えた水もトリチウムが残るため引き続きタンクに保管するが、放射性濃度は約100分の1となり、漏えいした場合の環境リスクを大幅に低減できる。2013年3月中に、まず1系統で試験運転を始める予定。当初は12年9月ごろから稼働の予定だったが、廃棄物を入れる容器の強度に問題が見つかり、耐久性向上の対策を取るなどして稼働が遅れていた。