NECとアイダエンジニアリングが警察市場を視野に共同開発した、アタッシュケースサイズのDNA解析装置。DNAの解析にはさまざまな目的があるが、その機能を「個人の識別」のみに特化している。必要なすべての機能をこのサイズに備え、持ち運びができるうえ、従来では1日ほどかかっていた解析時間を約25分まで短縮できるという。解析工程は大まかに、(1)皮膚や毛髪、血液などから細胞を採取、(2)試薬を使ってDNAを抽出、(3)さまざまな分析に必要なDNAの特定領域を、コピーを繰り返して増やす、(4)増やしたDNAを溶液などに混ぜ、電圧を加えることでDNAを大きさごとに分別、(5)分別されたDNAの中に見られるパターンから個人の差を特定、となる。この装置では、今までたくさんの試験管や機器を使っていた工程を、微小なチップの上で一度に行う「lab-on-a-chip」技術を用い、さらに(3)や(4)を担うユニットの小型化によって、装置全体の小型化と解析の高速化を果たした。犯罪者や容疑者のDNA情報をデータバンク化する動きが進む中、犯罪現場における鑑識捜査の手間や時間を大幅に軽減することが期待される。2007年9月25日に発表、08年度の製品化を目指している。