2008年に制定された宇宙基本法に基づいて、09年6月に宇宙開発戦略本部(本部長・内閣総理大臣)で了承された、今後の日本の宇宙開発利用の基本を定めた計画。10年先を見越した前半5年の計画として行う施策を定め、そのために必要な予算として総額2兆5000億円が試算されて盛り込まれた。総合的かつ計画的に実施すべき施策として、(1)宇宙を活用した安心・安全で豊かな社会の実現、(2)宇宙を活用した安全保障の強化、(3)宇宙外交の推進、(4)先端的な研究開発の推進による活力ある未来の創造、(5)21世紀の戦略的産業の育成、(6)環境への配慮、などが挙げられている。具体的な目標としては、地球観測や災害時の情報の把握と科学研究の分野で5年間に34機の人工衛星を打ち上げることや月面への探査を挙げ、20年には人間型ロボットによる無人探査を目指し、30年には有人月面探査を行うとしている。基本計画の了承に先立って09年4月に発表された「宇宙基本計画(案)」に対して求めたパブリックコメント(4月28日~5月18日)に寄せられた意見の中には、人間型ロボットを月面に送り込むとする案に対し、不安定な月面の歩行には向いておらず単なるパフォーマンスの域を出るものではない、という酷評に近いものもあったが、この案は、削除されることなく了承されている。