希土類(レアアース)元素の一つで、銀白色の軟らかい金属。原子番号66、元素記号Dy。ディスプロシウムと表記されることもある。同じく希土類元素のネオジム(原子番号60、元素記号Nd)とともに強磁性体として知られるが、地球上の存在量はネオジムの1割程度とされ、華南地方に鉱床をもつ中国が世界産出のほぼすべてを占めている。電気自動車や風力発電機のモーター磁石の原料として最重要視され、レアアースのなかでも特に著しい価格高騰が生じる状況となった。中国の輸出規制に加え、投機対象にもされるようになったことが原因で、ジスプロシウムの取引価格の指標は、2010年夏の1キロ当たり200ドル台から、11年6月末時点で1900ドル台にまで急騰している。新たな鉱山開発などの取り組みがなされる一方で、ジスプロシウムを使わない強力磁石の開発も始まっているが、実用化の見通しはまだ立っていない。