石川県白山市にある約1億3000年前(白亜紀初頭)の地層「桑島化石壁」から、1998年に発見された新種恐竜化石の学名。2009年9月に発行されたアメリカの古脊椎動物学会誌「Journal of Vertebrate Paleontology」に掲載された論文にて新種と報告された。論文は、東京大学の大橋智之特任研究員とロンドン自然史博物館のポール・バレット研究官の共著。新属名のAlbalophosaurusは「白山の竜」を意味し、新種名のyamaguchiorumは、桑島化石壁の調査に長年携わってきた県立白山ろく民俗資料館の山口一男、山口ミキ子両氏にちなみ付けられた。化石はラグビーボール大の岩石中に、歯やあご、ほおの骨など11点が含まれていた。恐竜の頭部がほぼ完全なまま発見されたのは国内初。恐竜は角脚類に属する小形草食恐竜で、推定全長1.3メートルほど。長い尾をもち、後ろ脚で二足歩行していたとみられる。角脚類は進化の過程で鳥脚類と角竜類に分岐していったが、この恐竜は両者の特徴をあわせもつことが分かった。日本で新種恐竜化石が発見されたのは4例目で、そのうち最古級とみられる。