ドイツ出身の発明家で、のちにキューバの外交官となったリカルド・ウルフ(Ricardo Wolf 1887~1981年)が、78年に創設した世界的な賞。イスラエルに本部をおく、民間非営利組織のウルフ財団(Wolf Foundation)が運営している。選考対象は、農業、化学、数学、医学、物理学、芸術(建築、音楽、絵画、彫刻を年ごとにローテーション)の6部門で、顕著な功績をあげた人に、それぞれ賞金10万ドルが贈られる。現在までに、23カ国253人が受賞した。とりわけ、化学、医学、物理学の3部門では、3人に1人がその後にノーベル賞を受賞しており、同賞の行方を占う前哨戦としての注目度も高い。日本人では、84年に小平邦彦東京大学名誉教授が、数学賞で初受賞。以来、南部陽一郎シカゴ大学名誉教授(94年 物理学賞)、小柴昌俊東京大学名誉教授(2000年 物理学賞)、野依良治名古屋大学教授(01年 化学賞)らも名前を連ねている。11年5月、iPS細胞(人工多能性幹細胞)を開発した、山中伸弥京都大学教授が医学賞を受賞した。