東京大学天文学教育研究センターの木曽観測所を中心に、甲南大学、国立天文台など内外の大学や研究機関からなるグループが進める超新星探査プロジェクト。超新星の爆発の際に発生するとされるショックブレイクアウト現象(衝撃波脱出 supernova shock breakout)を、世界で初めて可視光で捉えることを目的としている。超新星とは、太陽の8倍以上の重さの星や、二つの星が互いの周りを回る連星(binary star)がその生涯を終えて大爆発を起こし、数十日にわたって太陽の約5億個分の明るさで輝く現象をいう。特に前者は重力崩壊型超新星などと呼ばれ、爆発の瞬間に星の内部で発生した衝撃波が表面を通過する際に、数時間の間だけ急激に青く明るい光を放つことが予想され、これをショックブレイクアウト現象という。同プロジェクトは2012年4月から開始され、一度に2°角四方、つまり満月16個分に相当する広い領域を監視できる超広視野CCDカメラKWFC(Kiso Wide Field Camera)を用いて、同じ領域を1時間おきに監視しており、同年6月27日には、三つの超新星「SN2012cm」「SN2012cq」「SN2012ct」の発見を発表した。ショックブレイクアウト現象を捉えることができれば、爆発前の星の大きさをより正確に求められるようになるため、星の一生のより正確な知見が得られることが期待される。同プロジェクトでは、今後3年間の観測によって、100個以上の超新星を発見し、そのうちのいくつかについて、ショックブレイクアウト現象を捉えられると見込んでいる。