火山の噴火などに伴って発生する、低い周波数の振動波。急激な圧力変化がもたらす気圧の振動が空気を伝わっていくもので、スペースシャトルの大気圏再突入時やジェット機の発着時にも発生し、火山活動の場合は、噴火時の爆発や噴出物の高速流がこの振動波を生み出すと考えられている。音波として伝わる縦波と重力波として伝わる横波があり、体に感じたり窓ガラスを震えさせたりするものは音波であるものの、低周波音であるために耳で聞こえるというよりは、むしろ瞬間的な風や体を押されるような感覚として知覚される。日本では、低周波マイクロホンによる空振計を使って観測しており、音の圧力である音圧(sound pressure)によって計測し、「パスカル(Pa)」の単位で数値化して表す。なお、1平方センチあたりに約1キロの力がかかる1気圧が、約10万パスカルに換算される。気象庁では、体で感じられるくらい強い数百パスカルの空振を「大」、誰もが感じられる程度の30パスカル以上を「中」、窓ガラスなどをかすかに揺らし、注意すれば感じられる10パスカル以上を「小」と分類している。2011年1月19日に発生して以来、活発な活動を続ける九州南部・霧島火山群の新燃岳(しんもえだけ)の小規模噴火に伴って、翌2月1日の噴火の際に鹿児島県霧島市で300枚以上のガラスが割れるような被害がもたらされたことから、この現象が注目された。発表によれば、火口から1キロほど離れた場所で1500パスカル、南西約3キロの霧島市湯之野で458.4パスカルが計測されたという。