福島第一原子力発電所事故により放射性セシウムで汚染された地域において、除染作業で放射線量がどれくらい下がるか、事前にシミュレーションするためのソフトウエア。2011年11月2日、日本原子力研究開発機構が同機構のホームページ上で公表した。メールで利用申請を行えば、誰でも無償でダウンロードできる。本システムは、広範囲にわたる除染計画を策定する自治体などでの活用を見込んでおり、約0.5マイクロシーベルト/時以上の、比較的汚染度の高い地域を想定して設計されている。汎用性を重視し、マイクロソフト社の表計算ソフト「エクセル(2007または2010)」上で動作する。システムの利用に必要なデータは、(1)除染したい地域の地図や航空写真など「地形画像ファイル」、(2)文部科学省の「航空モニタリング測定」などからわかる「表面汚染密度データ」、(3) 日本原子力学会の「除染技術カタログ」に掲載されている「除染方法に対応した除染係数」の3つ。これらをシステムに取り込み、除染範囲を指定すると、除染前後の放射線量の分布がカラーで表示されるしくみ。除染係数を変化させることで、たとえば「表土のはぎとり」と「土壌洗浄」など、除染方法に応じた放射線量の低減効果を比較検討できる。なお、本システムで表示される最小単位は5メートル四方のため、いわゆるマイクロスポットのような狭い場所の除染効果はシミュレーションできない。また、山間部や農村部など人家が散在している地域を想定しているため、建物が密集する市街地には適さないという。