理化学研究所(理研)が開発を推進している次世代スーパーコンピューターの愛称。「京」とは、数の単位の一つで10の16乗、すなわち兆の1万倍を表す10ぺタ(ペタは10の15乗)のこと。理研では、演算速度が1秒間で1京(10ぺタ)回もの実行が可能な京速コンピューターの実現を目指してきたが、その愛称を公募した結果「京」が選定され、2010年7月に発表された。スーパーコンピューター(スパコン)とは、きわめて計算能力の高いコンピューターで、ハイパフォーマンス・コンピューター(high performance computer)ともいう。スパコンは、気象予測や複雑系の計算や、現実世界をモデルにしてコンピューター内でシミュレーション(模擬実験)を行うなど、パソコンでは不可能な膨大な情報処理が可能である。また国を代表するようなスパコンは、開発メーカーや国が威信をかけて開発に心血を注いでいることが底上げとなって、計算処理のパフォーマンスは日々飛躍的に向上しており、アメリカのスーパーコンピューターサイトでは毎年2回、世界のスパコンの処理能力ランキングを「TOP500」として発表している。10年6月現在、世界で最速のスパコンはアメリカのオークリッジ国立研究所のクレイ社製のジャガーで、理研が目指す京速コンピューターはその10倍以上の処理能力を備えたコンピューターということになる。