太陽エネルギーのみで飛行する有人のソーラー飛行機。2003年に太陽エネルギーのみによる世界一周飛行を目指すソーラー・インパルス・プロジェクトが発足し、1人乗りの試作機HB-SIAが製作されて09年6月26日に一般公開された。HB-SIAはモーター駆動の4発機で、全長21.8メートルの胴体に、エアバスA340並みの全幅63.4メートルの長い主翼が組み合わされる。この主翼上面に1万748枚、水平尾翼上面に880枚、合計1万1628枚の2.5センチ角、厚さ150ミクロンの単結晶シリコン太陽電池パネルが張り付けられており、発電した電気は出力6キロワットのモーターを動かし、夜間飛行のためのリチウム電池にも充電される。機体重量は1600キログラムで、そのうちリチウム電池が400キログラムを占める。HB-SIAは10年7月7~8日にかけて昼夜連続の試験飛行を実施した。その際の記録が10月29日、国際航空連盟(FAI)によって、太陽エネルギーを使う航空機部門・クラスCSでは初となる世界記録として公認された。公認記録は連続滞空時間26時間10分19秒、絶対高度9235メートル、獲得高度8744メートルの三つ。なお、プロジェクトでは、13~14年にかけて大西洋横断や世界一周飛行などを予定している。