九州南部の霧島火山に属する活火山。火口は鹿児島県霧島市の霧島山にあり、標高は1421メートル。霧島火山は鹿児島県と宮崎県の県境付近に位置する第四紀の火山群の総称で、20あまりの火山がある。新燃岳は中でも活動的な火山の一つで、有史以降もたびたび噴火しており、江戸時代の1771~72年、1822年にも熱い雲の固まりが流れ下る火砕流などを伴う爆発的噴火があったことが史料に残されている。近年もたびたび小規模な噴火を繰り返していたが、2011年1月19日から始まった噴火では、周辺地域に多くの降灰を記録。気象庁は、1月26日に5段階の噴火警戒レベルを「レベル2」から、新燃岳では初めてとなる「レベル3」(入山規制、火山全域で立ち入りを制限)に引き上げた。同日夜から27日朝にかけては、火山が爆発した時に噴火の衝撃波が空気を伝わる空振が九州の各地で観測され、周辺の地域では家の窓がガタガタ揺れるといった現象が報告された。27日の午後には大きな空気振動を伴う爆発的噴火を観測。噴煙は3000メートル近くに達した。爆発的噴火は1959年2月以来、52年ぶり。その後も噴火は続き、火口付近では火砕流の跡や、マグマがこぶのように盛り上がって固まった溶岩ドームも観測。宮崎県では、宮崎空港が降灰のため一時閉鎖され、高原町では避難勧告を発令。Jリーグのチームが宮崎キャンプの予定を取りやめるなど、地域社会に大きな影響がでている。