リンパ節とは、生物の免疫反応をつかさどる器官の一つで、リンパ腺ともよばれる。卵形の小さな器官で、わきの下や足の付け根、首などに分布しており、体内への病原体の侵入を察知して、免疫の機能を発動させる役割を担う。こうした免疫機能に異常がある患者の機能改善や、難病患者の免疫機能を強化して病気を克服することを目標に、人工のリンパ節をつくる研究が進んでいる。理化学研究所はマウスを使った実験で、その新たな成果を上げ、アメリカの科学雑誌「The Journal of Clinical Investigation」2007年4月号オンライン版にて発表した。まず、スポンジ状のコラーゲンを土台に、リンパ節の構築を促す細胞と、免疫細胞に指令を出す細胞とを組み合わせ、それをマウスの腎臓の皮膜下に移植する。すると、2~3週間後には、実際に免疫機能を発動させる働きをもった、人工のリンパ節が形成される。この人工リンパ節には、病原体の情報を記憶し、次回の侵入に備えておく免疫記憶細胞が多く存在することが判明。しかも、免疫機能の働きが悪いマウスに移植したときほど、強い免疫反応を発動させるうえ、人工リンパ節に由来する免疫細胞が、脾臓や骨髄などで姿を変えて増殖しながら、免疫機能の一助をなすこともわかった。