大きな音声や警告音を、遠くにある目的地点に、高い指向性をもって到達させられる特殊なスピーカー。2002年にアメリカンテクノロジー社(ATC)が開発した(LRADは登録商標)。音声のほか、人間の耳に不快な周波数を放射することもでき、傷つけることなく相手の接近を阻止したり、攻撃意欲を失わせたりできる。軍用級の「非殺傷兵器」といわれることもあるが、アメリカでは大型ハリケーンの被害者への呼びかけに用いたり、空港で鳥を追い払うなど、災害対策や犯罪対策にも使われている。日本では、南極海での調査捕鯨船が、反捕鯨団体「シー・シェパード」の執拗(しつよう)な妨害活動への警告として、不快な音を使った。09年4月には、アフリカのソマリア沖で海賊対策活動中の海上自衛隊の護衛艦が、海上警備行動の警護対象外(日本関係の船舶以外)の船を追っていた不審船を追い払うために、現地語で「こちらは日本の海上自衛隊」などと録音した音声を使用した。