温泉の熱を利用したバイナリー地熱発電(geothermal binary power generation)のこと。バイナリー発電では、80~150℃の蒸気やお湯を熱源に、アンモニアや代替フロンなど沸点が水より低い媒体を加熱し、その蒸気によりタービンを回転させて発電する。水(蒸気や熱水)と、沸点が低い媒体という2つを使うため、バイナリー(2つの)と称される。日本国内の温泉の約半数は、温度が高いため入浴に適した温度まで冷まして利用されている。温泉発電を行えば、熱い湯は発電に利用された後、55℃程度まで下がるため、旅館などで浴用として使いやすくなる利点もある。環境省は2010年8月25日、温泉発電の普及を目指し、11年度予算の概算要求に8億5000万円を盛り込んだ。国内には温泉発電に利用できる70~120℃の高温温泉は1万4000カ所、発電を実用化できる規模に限定しても1500カ所以上ある、と前提。11年度から3年間の事業計画として、初年度に出力50kWの温泉発電設備を設置した旅館など民間団体20件に対して費用の半額を補助するなど、世界3位の地熱資源国として、地熱エネルギーの有効利用を促進することにしている。