原子番号88番、原子量226.0254のラジウムの同位元素。ラジウムは自然界に広く存在する放射性核種の一つで、元素記号Raで表記される。融点は約700℃、沸点は約1140℃、比重は5~6、化学的にはカルシウムなどアルカリ土類金属に似た性質をもつ。質量数の違いにより、223、224、226、228の4種類の同位体があるが、このうちラジウム226はウラン238(238U)が崩壊していく過程で生じるウラン系列核種に属し、半減期が1622年と最も長い。1898年、キュリー夫妻によってポロニウムとともにウラン鉱石の中から発見された、最初の放射性物質でもある。1グラムあたりの放射能は、370億ベクレル(=1キュリー)。医療用の放射線源のほか、時計の文字盤を発光させる塗料などに用いられてきたが、崩壊時に放出されるアルファ線による内部被曝が問題となり、塗料業界ではほとんど使われなくなった。2011年10~11月、東京都世田谷区内で局地的に高い放射線量が検出され、調査を行ったところ、民家の床下や土中から試薬瓶入りのラジウム226が相次いで発見された。